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ブルトゥイユ城 Château de Breteuil

ルイ16世治下において大臣を務めた貴族、ブルトゥイユ家のお城です。(ベルばら作中では「ブルトイユ」と表記)
現在も子孫にあたるブルトゥイユ侯爵が城館および庭園を維持管理されています。

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※以下の記載は2000年前後の話ですので、かなりの確率で内容が変更されている場合があります。また、わりとレアな体験をしたため文章がかなりヒートアップしております。お恥ずかしいのですが、校正すると感動が薄れそうなのと侯爵夫妻の多大なご厚意の感謝もこめて、当時の文章をほぼそのまま掲載しました※

ここを知ったのは、少し前に開催されていた「マリー・アントワネット展」で、首飾り事件の「首飾り」のレプリカなど、マニアックな品々の数々が「ブルトゥイユ城蔵」とあったので、気になっていたのだった。

(ちなみにブルトゥイユ男爵、ベルばらにも名前だけですが登場しています。子孫の方が今もお城を維持していらっしゃるんですねー)

一週間ほどパリに行くことになったので、日帰りできる程度ならぜひ行ってみようと思って、ホームページを覗いてみた。するとどうだろう、メゾン・ラフィットに劣らない「ジャルジェ家」の雰囲気を醸し出しているではないか!
マニアの私も、「これはぜひ行っておかなくっちゃ!」と、リキを入れてしまったのだった。

あの城の外観だけでも見に行こう!と決心し、気軽に ブルトゥイユ城にEメールを出してみた。交通の便が悪いところらしいので、どうやっていくのが一番マシか?の様なことを書いたと思う。

数日後、我が家に届いたのは・・・城のパンフレットと「手書きの」手紙だった。

差出の署名をみると、 Breteuil とある。こっこれは・・・侯爵??ひょえー。でも、手紙までもらったら、行かなきゃ悪いよなあという思いもあって、結局旅行の日程の中に組み込んだ。

 

さて、やっとこさパリに到着し、一路ブルトゥイユ城を目指すわたし。パリから高速地下鉄で、50分くらいの郊外の駅、St.Remy des Chevereuseに到着。駅前にツーリストインフォメーションがあるから、そこでタクシーを拾おうと思ったが・・・タクシー会社が「遠すぎる」といって、来てくれない。ひー。

ツーリストインフォメーションのねーちゃんは 「ここから歩いて7キロくらいよー」と軽くのたまう。そんなん無理だー。ええい、こうなったらもらった手紙に書いてあった「タクシー呼んであげるからお城に電話しなさい」という一文を信じて、お城に電話をする。そうしてやって来た車は・・・お城からのお迎えだった。フランス人の割にでかい黒髪の青年アンドレ、じゃなくてフェビアンくん.。

これが馬車だったらカンペキアンドレじゃーん★

わたしのおバカな妄想と裏腹に、車(馬車じゃないのが残念?)は山を超え谷を越え、やがて地平線すら見えそうな大平原に抜ける。よかったー、歩かなくって。

「この辺ぜーんぶ、ブルトゥイユの領地だよーん」領地 ・・・すばらしいひ・び・き★

門をくぐり、まだ車は走る。とゆー事は!!「門から家まで距離がある」のかようっっ。うなぎの寝床に住む私には及びもつかない世界だ。まんがで見る貴族のお屋敷みたい。

屋敷の外観は、まさにアニメのジャルジェ家っぽい。メゾン・ラフィットを豪華にした感じだ。

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そう、これよこれっ。

 

屋敷に到着すると、フェビアンくんは私を屋敷の一室へ導く。肖像画が何枚もかかる以外、この部屋の中はやはり現代っぽい。

中から出てくる婦人は、おおうっ。侯爵夫人!仕事してるわ、驚きだなぁ。

とりあえずもらった手紙を見せたら、「あー、あなたねー!」と、喜んでくれた。まさか本当に来るとは思っていなかったらしい。 私もまさか本当に来るとは思わなかった。「城をひとまわりしたら、あとでここに寄ってらっしゃい。あ、ガイドはこのフェビアンだから」彼はガイドだったのだ。ひょっとして、小人数経営?

オフシーズンで客はわたし一人。ガイド開始の時刻表を、フェビアンくんは書き直す。こうしてブルトゥイユ城ツアーが始まったのだった。

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城の中は、ブルボン王朝に仕えた先祖が残した家具やら肖像画が並ぶ。フランス革命直前のブルトゥイユ(このときは)男爵は、「首飾り事件」事件の裁判等に関わった大臣。ルイ16世夫妻に何やら具申するシーンをろう人形で再現していたりする。ローアン大司教がわりと細面のいい男なので驚き。ベルばらに感化されすぎていました。

後はアントワネットが使っていた糸車とか、バラバラにされてしまった首飾りのレプリカとか、肖像画のものと同じポーズを取るアントワネットの人形などなど。

見学を終えて地下室から上がると、紳士が一人で立っている。「この人も季節はずれのお客かしら、入り口はあっちだよ」と言おうと思ったら、自己紹介をされた。なんと侯爵ご本人、だった・・・

とりあえず自己紹介と握手を交わした。「庭を見たら、お昼ご飯でも食べに来ませんか」

ええっ?そんなに日本人が珍しいかい ? フシギに思いながらも、庭に出ると・・・これが広いの広くないのって。

庭、というコトバはもっとかわいらしいものだ!もらった城の見取り図を見て私は思った。広大な森がすっぽり入ってる・・・。唖然とするわたしのはるか眼前を、2、3匹の鹿が走り去っていった。とりあえず、1時間で帰ってこれそうな範囲で庭を散策することにした。中世風の鳩小屋では鳩とお友達だったアンドレ、氷室ではアイスクリームが好物のオスカルを思い出す。(やっぱり私はオタク)

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結構ジャルジェ家してるじゃーん、と私は興奮して写真を取りまくってしまった。

約束の時間になり、屋敷に戻ると、侯爵夫妻、その母上、友人の画家等々をいきなり紹介される。ひょえー、と戸惑うまま食卓へ。あー、漫画に出てくるみたいなお貴族のお食事だったらどーしようー。フォークとナイフが10組位出て来たらどうしようー。が、このおバカな心配は杞憂に終わった(当たり前だ)。そこは外人の家庭にありがちなダイニングルーム兼食堂。みんなで丸テーブルに座り、ボールに盛ったおかずを廻す。侯爵夫妻は自分たちで皿を出したりしている。

あー、普通だ。なんだかほっとするぅ。

「日本でのマリー・アントワネット展でこの城のことを知り、ここに来ました」と言ったら、皆さん大喜び。ウケを狙ったわけではないのだが。デザートまでしっかりご馳走になってしまい、さらに侯爵いわく「スペシャルデリバリー」で駅まで送ってもらってしまった。

何だかわからないうちにブルトゥイユ城の訪問は終わってしまった。なんであんなに親切だったんだろう、という疑問を胸に残したまま。単にシーズンオフで暇だったのだろうか。

いずれにしても、一生忘れられない出来事になりました。うさんくさい東洋人の小娘を温かくもてなしてくださって、本当に感謝しています。

 


最寄駅■St-Remy Le Chevereuse
St-Remy Le Chevereuse から車で15分くらい。夏は駅からバスが出るらしい。このあたりはなだらかな丘陵地帯で緑も多いので、格好のハイキングコースにもなっている。(侯爵談)
HP■http://www.breteuil.fr/

 


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